本研究では,パートナーロボットが家庭に受容されていく中でどのような動物らしさが重要になっているかを分析した.アンケートでは視覚的・聴覚的・触覚的要素の動物らしさを調査し,それぞれの要素の部分的な動物らしさと利用期間の間でどのような傾向があるのか分析した.また,ユーザがロボットの動物らしさをどのような側面から感じ取っているのかを,ロボットの各要素の動物らしさと生物感の関係を分析して示した.
その結果,ロボットの知性や形の動物らしさ等の項目が受容要因となっている可能性が示唆された.また,ロボットの動きの滑らかさ,声以外の音量の動物らしさといった要素からユーザはロボットに生物感を感じていることが示唆された.
A Feasibility Study of An Intelligent Environmental Monitoring System Based On The Ethereum Blockchains, Cheng Yiyang, Kazunori Takashio, 2021 International Conference on Information and Communication Technology Convergence (ICTC 2021), pp. 435-439, doi: 10.1109/ICTC52510.2021.9621007.
In today’s era, the security and authenticity of information have always received extensive attention, especially when people have doubts about the authenticity of data. Hence, a traceable data storage platform with the feature that theoretically cannot be tampered with becomes extremely important. Under such demands, the deployment of smart contracts can effectively trace the source and discover problems. This article introduces an environmental data detection platform based on blockchain technology and smart contracts. It aims to record the data continuously and verify the authority of each transaction.
テレプレゼンスロボットにおける遠隔ユーザの身体性を考慮した表示手法の検討, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 121, no. 93, CNR2021-3, pp. 8-13, 2021年7月.
テレプレゼンスロボットを用いることで,ユーザは遠隔地で行われている空間を自由に移動することで臨場感を感じることができる.しかし,遠隔ユーザと会話を行う現地ユーザの視点に立つと,市販のテレプレゼンスロボットは遠隔ユーザの顔面部分を表示するディスプレイのみを搭載しているものが大半であり,感じられる遠隔ユーザの存在感は限定的である.そこで,本編では,遠隔ユーザの全身を表示することで遠隔ユーザの身体性を再現するテレプレゼンスロボットのプロトタイピングを行った.また,プロトタイプを用いて,表示範囲の違いによる影響を調べる実験を行った.全身表示型テレプレゼンスロボットは,現地ユーザが感じる遠隔ユーザの存在感工場に寄与することが示唆された.
Novel Robotics Design
ロボットは幅広い分野でそれぞれの要求や課題に合ったロボットが活用されている.それらのロボットを設計・開発していくためには,求められる仕様に沿って,形状や機構のデザインを行っていくが,様々なデザインやアクチュエータ,機構が存在するロボットに対して,求められる要求に最も適したデザインや機構を設計していくことは難しい.そこで本研究では,ロボットのデザインや機構に,アルゴリズミック・デザイン手法を応用することで,求められる最適なデザインや構造を得ることを目的とするとともに,人とロボットの協奏社会の実現に向け,人とのインタラクションに適したデザインも追求していく.
近年のコンピューティング能力の向上によって,シミュレーション上でロボットを動かすことや,強化学習を用いて動作を学習させることなどが可能となっている.そのようなシミュレーション上での計算を踏まえることで,複雑なロボット設計がより容易になるとともに,人間が行う設計だけでは得られない,それぞれのロボットに求められる最適な設計やデザインを得ることが可能になると期待する.また,現在の3Dプリンターのように,個人が身近な問題に対して,初心者でも簡単にロボットを設計・製作して対処することが出来る社会を期待している.
アルゴリズミック・ロボットデザインの手法の開発
ロボットの形態や機能は多岐にわたり,それぞれのロボットに対して,求められる要求に最も適したデザインや機構を設計していくことは難しい.そこで本研究では,ロボットのデザインや機構に,アルゴリズミック・デザイン手法を応用し,ロボットやアクチュエータの動きや動作,ユーザによる評価を考慮しながら様々な制約下でそれぞれのロボットに求められる最適なデザインや構造を得ることを目的とした,「アルゴリズミック・ロボットデザイン手法」の提案と開発を行っている.
2020年度未踏IT人材発掘・育成事業
https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/2020/gaiyou_tn-3.html
Motivating for Human Behavior
一般的に,人は不特定多数の人に対してある一定の行動を促す時,張り紙の文字表記やアナウンスの言語音声などで指示をする.他方,犬や猫などの動物は人に一定の行動を促したい時,動作や鳴き声で意思を訴える.人は,動物に対して始めから 完璧な意思伝達を求めず,彼らの挙動から意図を読み取ろうと試みる. 結果として,動物は自らの己の挙動から人に行動意図を想像させ,間接的に行動を促すことが可能となる.動物が用いるこのような間接的な行動誘発の手法は効率的とは言えないが,人の想像力を用いて自発的な行動を誘発する為,言語に依存する事も少ない. そこで本研究では,人に対して行動誘発する手法として,日常的に存在する「モノ」を意思のあるかのように動作させる.この時,人はそれぞれの使用言語や年齢に関わりなく,更に人に不快感を抱かせずにモノの行動意図を想像させ,自発的な行動をとらせるような,行動誘発の手法を研究する.
日常的に存在するモノの動作を通して,人の自主的な行動を誘発する事が可能になる.一方的な行動指示とは異なり,人がモノの行動意図を読み取ろうと想像力を働かせることで,行動を指図される事に対する不快感を抱きにくく,行動目的を果たした際に達成感を得られる可能性もある.例えば,行動範囲の規制が取られている空港内などでの誘導法として有効性が期待できる。新型コロナウィルスの蔓延により,空港内ではハイリスク国からの渡航者とその他の利用者が接触しないような対策が講じられているが,明確な棲み分けができていない現状がある.そこで,非言語的で自然な行動誘発を加えることで利用者に不快感を与えずに範囲を制限しつつ,安全を確保することができる.
本研究 では,間接的に人に対して行動誘発する手法として,日常的に人が見慣れているボールを「犬」と「猫」の挙動を元 に意思のあるかのように動作させる.この時,人はそれぞれの使用言語や価値観に関わりなくモノの行動意図を想像し,不快感を抱かずに自発的行動をとるか検証する.
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Softness for Robot
現在のほとんどのロボットは工場を活躍の場としている.従来のアプローチで造り上げられたロボットは固く頑丈な外装と骨格から成り,強力なアクチュエータを備えている.一方で,ロボットは人の生活に溶け込むことがますます求められているが,従来のアプローチによるロボットは恐怖心を煽ったり,時には凶器に成りかねない.そこで,生体の持つ「やわらかさ」をロボットに付与するソフトロボットが提唱されている.本プロジェクトでは,やわらかいロボットのプロトタイピングツールや,既存のロボットにやわらかさと触覚器官を付与するアプローチを提案している.
人とロボットが共生する社会において,ロボットは人が寄り添いやすくデザイン・実装される事が望ましい.柔らかさは人に安心感や親近感を与えることが知られているが,実用化はセラピーや介護の現場で始まったばかりである.本プロジェクトはHRI(ヒューマンロボットインタラクション)を伴う幅広い領域においてロボットにやわらかさを付与するシステムの実現を目指す.
従来提案されてきたソフトロボットの多くが,成形が必要であったり,ポンプやコンプレッサ等の外部機器が必要な上に,基本的にコードベースのプログラムで制御され,プロトタイピングのハードルが高い.そこで,ソフトアクチュエータを備えたモジュールによるプロトタイピングツール”ModuRo”を提案する.ModuRoを組み合わせることによって,ぬいぐるみなど身の回りのものを誰もが簡単にソフトロボットとしてプロトタイピングできる環境を実現する.
STI:
ロボットに皮膚感覚を付与する際,多数のセンサユニットでロボットの外装を包むことがある.一方で,このユニットの柔軟性や形状,素材の自由度がソフトロボットの実装において課題である.本プロジェクトでは,ロボットの外装にやわらかさを付与すると共に,素材の形状変化を検知するシステム”STI”の開発・検証を行う.
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Sociable Things × Augmented Reality
Sociable Thingsとは,パーソナルロボットの領域において使用されている技術を,日用品を含めた細かい粒度のモノへ適用することで実現する次世代のIoT環境のことを指している.様々なコンテキストを把握し,ユーザに寄り添うモノのコミュニティは,人に対して行動変容を促し生活環境の質を上げる足掛かりとなる.疲労を検知しユーザへ物理的に干渉する「ワークライフバランスキーボード」の他,最先端のプロジェクトでは拡張現実 (AR) にて生成される仮想オブジェクトを利用し,幅広いモノを対象とした次世代IoT空間を模索している.
現在実装されているスマートシステムは,私たちの生活の利便性を大幅に向上させた.身に着けている1つのデバイスから,登録されている様々なデバイスを操作することが可能であり,複数のデバイスが連携して1つのシステムを確立している.近年では,スマートスピーカのようなユーザとの会話を重視するようなデバイスも増えてきた.本プロジェクトが目指すのは,このような利便性だけを重視するのではなく人とモノとのインタラクションをも重視するシステムであり,様々なモノが連携して人の行動を心理的側面から日常的に支援する社会である.
Interactive IoT Spaces with Augmented Existence
既存の IoT 環境はセンシング機能に重点を置かれている.対して情報提示機能に関しては,スマートフォン等,豊富な計算資源を持つデバイスを用いることが前提であり,情報提供サービスとの紐付けから,構成も静的なものとなることが多い.本研究では,新しい概念「拡張存在感」を AR と IoT を融合させた概念として定義している.両技術を用いることによりモノの存在感・存在価値を高めることで,既存の会話可能なIoTデバイスに加え,ユーザが視界に捉える全てのモノを対象としたインタラクティブなIoT空間を実現する.
https://ieeexplore.ieee.org/document/8980382
谷中健大朗, 高汐一紀 , “v-IoT: AR による仮想的 IoT 環境の構築と連想概念による適切な情報提示オブジェクト選択手法” 電子情報通信学会論文誌 D 104.1 (2021): 21-29
https://search.ieice.org/bin/summary.php?id=j104-d_1_21
Telepresence Robot
電話や電子メールといった遠隔コミュニケーションツールが普及する中でも,対面コミュニケーションは依然として重要である.2020年には,新型コロナウイルス感染症による影響で,世界中でビデオ通話アプリケーションの利用が急増したが,そうしたアプリケーションの限界を感じる場面も多い.そこで,遠隔地にいる人間の存在感を再現するテレプレゼンスという技術が注目されている.テレプレゼンスは,元々は危険な場所でオペレータが遠隔操作を行うような技術であった.しかしながら,コミュニケーションの文脈にも拡張されて以来,遠隔ユーザが感じる臨場感と現地ユーザが遠隔ユーザに対して感じる存在感の双方が重要になってきた.本プロジェクトでは,テレプレゼンス技術をロボットに搭載したテレプレゼンスロボットにおける存在感を向上させるアプローチに関して研究を行う.
遠隔コミュニケーションシステムが普及することにより,我々は移動という行為に時間をかけることなく,物理的制約にとらわれない生活が可能となる.実際に,新型コロナウイルス感染症流行下では,旅行先で仕事をする「ワーケーション」というスタイルが積極的に利用されるようになった.また,首都にある本社機能を縮小するというような決定をした企業もある.日本国内においては,多くの企業を始めとし社会的活動が都市部に集中している.必然的に,これらの三大都市圏に住む人々は日本の人口比51.8%にのぼっており,都市部への人口集中が課題になっている.しかし,オンライン上での遠隔コミュニケーションが進むと,地方と都市といった場所の違いが問題にならなくなる.都市と地方の格差問題や医療サービスの都市部集中といったような諸問題が解決される可能性さえ出てくる.
コミュニケーションには非言語行動や身体的な情報の伝達も必要不可欠である.しかし,既存のテレプレゼンスロボットは,顔面のみがディスプレイに表示されるものがほとんどである.遠隔ユーザの表示範囲を拡張することによって,伝達されるモダリティを拡張することができると考えられる.本プロジェクトでは,遠隔ユーザの表示部位と存在感の関係についてプロトタイプを実装し,調査する.
空間内に溶け込むテレプレゼンスロボット
身体性を高めたテレプレゼンスシステムを二次元ディスプレイで実装すると,遠隔ユーザの背景の存在が存在感を阻害する恐れがある.そこで,本プロジェクトでは,遠隔地背景と存在感の関係性について調査し,その問題を解決するアプローチの実装を行う.
HRIにおける視線行動が参与者間の共通基盤構築に及ぼす影響, 桑原多瑛, 山口留実, 渡辺巧登, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 120, no. 394, CNR2020-17, pp. 22-27, 2021年3月.
HRI(Human-Robot Interaction)でスムーズな会話を行うためには,ロボットにマルチモーダルに人間の会話を解釈し,また言語と動作の両方を適切に人間に解釈してもらうためのシステムが必要である.本研究では,会話において会話参加者が持つ情報のうち,視線行動に着目し,HRIにおける共通基盤構築の補助となるようなロボットの視線行動を考察する.HHI(Human-Human Interaction)を元に視線行動の分析を行い,ロボットに適切な視線行動の仮説を立てて実装し,評価実験を行う.