Softness for Robot

Outline

現在のほとんどのロボットは工場を活躍の場としている.従来のアプローチで造り上げられたロボットは固く頑丈な外装と骨格から成り,強力なアクチュエータを備えている.一方で,ロボットは人の生活に溶け込むことがますます求められているが,従来のアプローチによるロボットは恐怖心を煽ったり,時には凶器に成りかねない.そこで,生体の持つ「やわらかさ」をロボットに付与するソフトロボットが提唱されている.本プロジェクトでは,やわらかいロボットのプロトタイピングツールや,既存のロボットにやわらかさと触覚器官を付与するアプローチを提案している.

Vision

人とロボットが共生する社会において,ロボットは人が寄り添いやすくデザイン・実装される事が望ましい.柔らかさは人に安心感や親近感を与えることが知られているが,実用化はセラピーや介護の現場で始まったばかりである.本プロジェクトはHRI(ヒューマンロボットインタラクション)を伴う幅広い領域においてロボットにやわらかさを付与するシステムの実現を目指す.

Project Research
ModuRo:
従来提案されてきたソフトロボットの多くが,成形が必要であったり,ポンプやコンプレッサ等の外部機器が必要な上に,基本的にコードベースのプログラムで制御され,プロトタイピングのハードルが高い.そこで,ソフトアクチュエータを備えたモジュールによるプロトタイピングツール”ModuRo”を提案する.ModuRoを組み合わせることによって,ぬいぐるみなど身の回りのものを誰もが簡単にソフトロボットとしてプロトタイピングできる環境を実現する.

STI:
ロボットに皮膚感覚を付与する際,多数のセンサユニットでロボットの外装を包むことがある.一方で,このユニットの柔軟性や形状,素材の自由度がソフトロボットの実装において課題である.本プロジェクトでは,ロボットの外装にやわらかさを付与すると共に,素材の形状変化を検知するシステム”STI”の開発・検証を行う.

Publication

none

Sociable Things × Augmented Reality

Outline

Sociable Thingsとは,パーソナルロボットの領域において使用されている技術を,日用品を含めた細かい粒度のモノへ適用することで実現する次世代のIoT環境のことを指している.様々なコンテキストを把握し,ユーザに寄り添うモノのコミュニティは,人に対して行動変容を促し生活環境の質を上げる足掛かりとなる.疲労を検知しユーザへ物理的に干渉する「ワークライフバランスキーボード」の他,最先端のプロジェクトでは拡張現実 (AR) にて生成される仮想オブジェクトを利用し,幅広いモノを対象とした次世代IoT空間を模索している.

Vision

現在実装されているスマートシステムは,私たちの生活の利便性を大幅に向上させた.身に着けている1つのデバイスから,登録されている様々なデバイスを操作することが可能であり,複数のデバイスが連携して1つのシステムを確立している.近年では,スマートスピーカのようなユーザとの会話を重視するようなデバイスも増えてきた.本プロジェクトが目指すのは,このような利便性だけを重視するのではなく人とモノとのインタラクションをも重視するシステムであり,様々なモノが連携して人の行動を心理的側面から日常的に支援する社会である.

Project Research

Interactive IoT Spaces with Augmented Existence
既存の IoT 環境はセンシング機能に重点を置かれている.対して情報提示機能に関しては,スマートフォン等,豊富な計算資源を持つデバイスを用いることが前提であり,情報提供サービスとの紐付けから,構成も静的なものとなることが多い.本研究では,新しい概念「拡張存在感」を AR と IoT を融合させた概念として定義している.両技術を用いることによりモノの存在感・存在価値を高めることで,既存の会話可能なIoTデバイスに加え,ユーザが視界に捉える全てのモノを対象としたインタラクティブなIoT空間を実現する.

Publication
Kentaro Taninaka, Kazunori Takashio, Virtual IoT: An IoT Platform with MR Technologies Realizing Low-cost and Flexible Notification of Life-support Information, IEEE The 2019 International Conference on Internet of Things and Intelligence Systems (IoTaIS2019), 2019/11/3-5, Bali, Indonesia.
https://ieeexplore.ieee.org/document/8980382

谷中健大朗, 高汐一紀 , “v-IoT: AR による仮想的 IoT 環境の構築と連想概念による適切な情報提示オブジェクト選択手法” 電子情報通信学会論文誌 D 104.1 (2021): 21-29
https://search.ieice.org/bin/summary.php?id=j104-d_1_21

Telepresence Robot

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電話や電子メールといった遠隔コミュニケーションツールが普及する中でも,対面コミュニケーションは依然として重要である.2020年には,新型コロナウイルス感染症による影響で,世界中でビデオ通話アプリケーションの利用が急増したが,そうしたアプリケーションの限界を感じる場面も多い.そこで,遠隔地にいる人間の存在感を再現するテレプレゼンスという技術が注目されている.テレプレゼンスは,元々は危険な場所でオペレータが遠隔操作を行うような技術であった.しかしながら,コミュニケーションの文脈にも拡張されて以来,遠隔ユーザが感じる臨場感と現地ユーザが遠隔ユーザに対して感じる存在感の双方が重要になってきた.本プロジェクトでは,テレプレゼンス技術をロボットに搭載したテレプレゼンスロボットにおける存在感を向上させるアプローチに関して研究を行う.

Vision

遠隔コミュニケーションシステムが普及することにより,我々は移動という行為に時間をかけることなく,物理的制約にとらわれない生活が可能となる.実際に,新型コロナウイルス感染症流行下では,旅行先で仕事をする「ワーケーション」というスタイルが積極的に利用されるようになった.また,首都にある本社機能を縮小するというような決定をした企業もある.日本国内においては,多くの企業を始めとし社会的活動が都市部に集中している.必然的に,これらの三大都市圏に住む人々は日本の人口比51.8%にのぼっており,都市部への人口集中が課題になっている.しかし,オンライン上での遠隔コミュニケーションが進むと,地方と都市といった場所の違いが問題にならなくなる.都市と地方の格差問題や医療サービスの都市部集中といったような諸問題が解決される可能性さえ出てくる.

Project Research
身体性を考慮したテレプレゼンスロボット
コミュニケーションには非言語行動や身体的な情報の伝達も必要不可欠である.しかし,既存のテレプレゼンスロボットは,顔面のみがディスプレイに表示されるものがほとんどである.遠隔ユーザの表示範囲を拡張することによって,伝達されるモダリティを拡張することができると考えられる.本プロジェクトでは,遠隔ユーザの表示部位と存在感の関係についてプロトタイプを実装し,調査する.

空間内に溶け込むテレプレゼンスロボット
身体性を高めたテレプレゼンスシステムを二次元ディスプレイで実装すると,遠隔ユーザの背景の存在が存在感を阻害する恐れがある.そこで,本プロジェクトでは,遠隔地背景と存在感の関係性について調査し,その問題を解決するアプローチの実装を行う.

Publication
[1] Y. Furuya and K. Takashio, “Telepresence Robot Blended With a Real Landscape and Its Impact on User Experiences,” in 2020 29th IEEE International Conference on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN), 2020, pp. 406–411, doi: 10.1109/ro-man47096.2020.9223346.
[2] 古谷優樹, 高汐一紀, “遠隔者の身体的存在感を高めるテレプレゼンスロボットの提案,” in 信学技報, vol. 119, no. 446, CNR2019-54, 2020, pp. 53–57.
[3] 古谷優樹 and 高汐一紀, “テレプレゼンスロボットにおける遠隔ユーザの身体性を考慮した表示手法の検討,” in 信学技報, vol. 121, no. 93, CNR2021-3, 2021, pp. 8–13.

遠隔者の身体的存在感を高めるテレプレゼンスロボットの提案:furuyan

テレプレゼンスロボットは遠隔者の身体的・社会的存在感を再現し,円滑な遠隔コミュニケーションを支援するロボットである.しかし,既存のビデオチャットを用いたロボットでは,完全に遠隔者の存在感が再現されているとはいえない.一因として,画面上における背景の存在がある.背景によって,遠隔者が別の場所に居ることを明確に意識させてしまうからだ.そこで我々は,ビデオチャットにおける遠隔者映像の背景部分のみをテレプレゼンスロボットが置かれている場の背景映像にリアルタイムに合成することにより,遠隔者の身体的存在感を向上させたロボットの実装を行い,その評価を行った.

複数人対話における画面内エージェントとのコミュニケーションチャネル確立手法の提案:fly

近年,ディスプレイ上で表示されるエージェントもしくはモニタ越しにビデオ通話など人物を,見る機会が増えている.それに伴い人とインタラクションする画面内案内エージェントが増えている.画面内エージェントとの1対1のインタラクションでは,話し手と聞き手が確定しているので受話者が誰か考慮に入れる必要はない.しかしテレプレゼンスロボットのような複数人会話を行う場合,周囲にいる誰に発言しているがが問題となってくる.画面内のエージェントやモニタ内の人物はモナリザ効果によってモニタの外へ視線を向けることが困難である.画面に映る人が視線を向けるための研究が盛んに行われている. 本研究ではコミュニケーションチャネルの接続に注目し,複数人会話であること考慮したうえで特定の人と会話をする画面内エージェントを提案する.エージェントのモニタの背景を注視対象に追従させる手法と追従した時に体の姿勢に慣性を持たせる手法を提案し評価した.また瞳に注視対象を直接映すことによって注視対象を表顕する手法を提案し評価した. 既存の注視を行える画面内エージェントの研究では,その注視対象の評価を行っているが,注視対象以外の会話参加者にどう思われているか検証していない.本研究では瞳に注視対象を映す手法と先行研究の手法を作成し,比較実験を行う.

会話参加者の振る舞いを考慮した複数会話スケジューラの実装と評価:theramin

ロボットが公共空間で活動することを考えた場合,複数のユーザがそれぞれ目的を持って行動しているため,ロボットが複数のタスクを同時に抱える状況が考えうる.会話というタスクに注目すると,ロボットがすでに会話している途中に第三者が話しかけてくる場合のみならず,知り合いとすれ違う際の挨拶など,社会通念上,それまでの会話を中断して別の会話を行うことが望ましい状況が起こり得る.本研究では,割込み者がそれまでに行われている会話とは異なる内容の会話を行うことを期待していた場合の,ロボット対応をデザインする.従来の会話中の割り込みに関する研究は,協調的なインタラクションの一部として解釈可能な割込みについて扱ったものがメインであった,ロボットの実行すべきタスクとして,それまでの会話と全くコンテキストの異なる会話が割込むようなケースに関して研究したものは少ない.ロボットが割込みに対応するには, 会話中の割込みの検出,優先度に基づく会話順判断,および会話切り替え時の待たせる人への配慮行動が必要 となる.本研究では優先度に基づく会話順判断と待たせる人への配慮行動に着目し,会話スケジューリング手法 CACTS-Cを提案する.CACTS-Cは用事の有無,会話の短さ,元会話者と割込み者の人間関係,割込み時の情動の4つの因子によって会話の優先度付けを行い,会話順を判断する.更に,CACTS-Cでは状況に応じて待たせる人に対し会話順の説得をおこなう.会話シナリオの記述には,チャットボット用のマークアップ言語である AIML (Artificial Intelligence Markup Language) を隣接ペア単位で会話シナリオ記述するように独自に拡張したAIML-apを用いて,実験用ロボット会話システムの実装を行った.実装したロボットの割込みの対応の印象評価の結果,優先度に基づく会話順判断の有効性を示した.また,CACTS-Cの会話順について説得する行為が,単に会話順の決定理由の説明する場合と比較して,ロボットの公正さの印象が有意に高いことを示した.

v-IoT -MRを用いた生活支援情報提示手法-:shandy

クラウド型情報インフラの整備が進み,エッジコンピューティングの必要性が増してきている中,ネットワーク接続に特化した計算機の低価格化及び小型化により,企業がネットワーク機能を備えた製品を生産し,IoT 分野が醸成されつつある.近年ではセンサでデータを収集する機器だけでなく,ユーザに対し能動的に生活支援情報を提示する機能を持つ機器も増えた.しかし,日用品等,ユーザが 1 つの行動に絞り込むことができる物品に情報提示機能を付与することは難しく,Smart Speaker の様に豊富な計算資源をもつ機器から多種多様な情報が提供されているのが実情である.
本研究では,Mixed Reality 技術を応用することで,「買う―捨てる」のサイクルが激しいペットボトルのような,IoT 機器化困難なモノを仮想的に IoT 機器化する手法,v-IoT システムを提案する.本手法は,ユーザへ提示する情報と促したい行動を,モノが持つアフォーダンス情報や機能を用いてマッチングを行う.連想概念辞書を用いて通知内容から取得できる動詞と距離が近いモノを指定することにより,v-IoT システムは行動の連想が容易なモノを介してユーザに情報提示を行うことが可能となる.結果として,ユーザにとって理解しやすく負担の少ない情報提示手法を実現できることが期待される.
予備実験では,ユーザの視点から IoT 機器化困難なモノからの情報提示手法の印象・ユーザビリティ評価を行い,デザイナの視点からシステムの表現力・工程数に対するパフォーマンスについて検証・評価を行った.実験で得た結果から,提案した手法はユーザにとって理解しやすい情報提示が行えたと示されたが,本システムが指定するモノとは異なるモノを連想したユーザは提案システム全体の評価が低くなる傾向があることが明らかとなった.そこで,ユーザ各々の行動を把握し連想概念辞書へ反映することで更なる v-IoT システムへの印象評価の向上を試みた.改善後のシステムを用いて再度実験を行った結果,動的に辞書変更したシステムの方が被験者の選択肢に対する精度も高く,より行動が連想しやすいモノを選択できるシステムであることが示された.

ModuRo ソフトロボットのためのプロトタイピング環境:ak1ra

工場を主な活躍の場としてきたロボットが,今や生活の中でありふれた存在になろうとしている.一方,従来の硬く力強いロボットは,共に人間と協働する際に凶器となったり,恐怖心を煽るものであった.そこでロボットの構造や外装,アクチュエータにやわらかさを付与する試みがソフトロボットである.ソフトロボットはサービスロボットのみならず,バイオメカニクスや産業・医療の幅広い領域に応用が始まっている.一方,ソフトロボットはこれまでは簡単なプロトタイピングが難しかった.そこで本研究では,ソフトアクチュエータの一つである形状記憶合金を備えたモジュラロボット “ModuRo” を開発し,ソフトロボットの円滑なプロトタイピング環境を提案する.ModuRoの2種類のプロトタイプを実装し,アクチュエータとしての性能評価とぬいぐるみ型ソフトロボットのプロトタイピングにおけるユーザビリティテストを実施した.性能評価では,ソフトアクチュエータが安定した出力を発揮していることがわかった.ユーザビリティテストでは,ModuRoシステムと既存のコードベースのプログラミングに表現力の有意差は見られなかったが,ModuRoを用いることによる作業効率向上が示唆された.

v-IoT MRを用いた生活支援情報提示手法:shandy

クラウド型情報インフラの整備が進み,エッジコンピューティングの必要性が増してきている中,ネットワーク接続に特化した計算機の低価格化及び小型化により,企業がネットワーク機能を備えた製品を生産し,IoT 分野が醸成されつつある.近年ではセンサでデータを収集する機器だけでなく,ユーザに対し能動的に生活支援情報を提示する機能を持つ機器も増えた.しかし,日用品等,ユーザが 1 つの行動に絞り込むことができる物品に情報提示機能を付与することは難しく,Smart Speaker の様に豊富な計算資源をもつ機器から多種多様な情報が提供されているのが実情である.
 そこで本研究では,Mixed Reality 技術を応用することで,「買う―捨てる」のサイクルが激しいペットボトルのような,IoT 機器化困難なモノを仮想的に IoT 機器化する手法,v-IoT システムを提案する.本手法は,ユーザへ提示する情報と促したい行動を,モノが持つアフォーダンス情報や機能を用いてマッチングを行う.これにより,v-IoT システムは行動の連想が容易なモノを介してユーザに情報提示を行うことが可能となる.結果として,ユーザにとって理解しやすく負担の少ない情報提示手法を実現できることが期待される.本論文にて v-IoT システムの設計・詳細,プロトタイプを使用した評価実験を行った.
 評価実験では,ユーザの視点から IoT 機器化困難なモノからの情報提示手法の印象・ユーザビリティ評価を行う.また,デザイナの視点からシステムの表現力・工程数に対するパフォーマンスについて検証・評価を行った.

AfRAS: Video Gaming with Emotion Expressive Virtual Rival Player:kiyomo

With the expansion of video gaming industry reaching into newer territories, video games are no longer just an entertainment tool. They can become one’s career, competition, healthcare, or social interaction. Within the values that video game brings, something that is close to casual player is social interaction on physical world or cyberspace. However, sometimes interaction with an entity without embodiment can lose player’s engagement or satisfaction. For some of the more vulnerable people who relies on video game as a source of social interaction, the lack of embodiment can greatly reduce the enjoyment of playing games.
This research will discuss a possible solution to the lack of embodiment. Many Player vs. Player games have a game mode versus CP(Computer Player). However the experience in such modes can lack satisfaction on the player side due to the lack of engagement, challenge, and involvement. This paper proposes a human-agent interaction system in the context of video game. The virtual agent will act as if it is the CP, creating stronger ties and possible companionship. This research will design and evaluate an auxiliary system that enhances the experience of playing against CP by using an on-screen virtual agent. Emotion will be synthesized through an emotion engine using the game state as an input, and the agent will display facial expressions and appropriate utterances. The evaluation will be done through user-end perspective and developer perspective to grasp the whole model of our system, AfRAS, and possible implications to the gaming ecosystem.