Sociable Thingsとは,パーソナルロボットの領域において使用されている技術を,日用品を含めた細かい粒度のモノへ適用することで実現する次世代のIoT環境のことを指している.様々なコンテキストを把握し,ユーザに寄り添うモノのコミュニティは,人に対して行動変容を促し生活環境の質を上げる足掛かりとなる.疲労を検知しユーザへ物理的に干渉する「ワークライフバランスキーボード」の他,最先端のプロジェクトでは拡張現実 (AR) にて生成される仮想オブジェクトを利用し,幅広いモノを対象とした次世代IoT空間を模索している.
現在実装されているスマートシステムは,私たちの生活の利便性を大幅に向上させた.身に着けている1つのデバイスから,登録されている様々なデバイスを操作することが可能であり,複数のデバイスが連携して1つのシステムを確立している.近年では,スマートスピーカのようなユーザとの会話を重視するようなデバイスも増えてきた.本プロジェクトが目指すのは,このような利便性だけを重視するのではなく人とモノとのインタラクションをも重視するシステムであり,様々なモノが連携して人の行動を心理的側面から日常的に支援する社会である.
Interactive IoT Spaces with Augmented Existence
既存の IoT 環境はセンシング機能に重点を置かれている.対して情報提示機能に関しては,スマートフォン等,豊富な計算資源を持つデバイスを用いることが前提であり,情報提供サービスとの紐付けから,構成も静的なものとなることが多い.本研究では,新しい概念「拡張存在感」を AR と IoT を融合させた概念として定義している.両技術を用いることによりモノの存在感・存在価値を高めることで,既存の会話可能なIoTデバイスに加え,ユーザが視界に捉える全てのモノを対象としたインタラクティブなIoT空間を実現する.
https://ieeexplore.ieee.org/document/8980382
谷中健大朗, 高汐一紀 , “v-IoT: AR による仮想的 IoT 環境の構築と連想概念による適切な情報提示オブジェクト選択手法” 電子情報通信学会論文誌 D 104.1 (2021): 21-29
https://search.ieice.org/bin/summary.php?id=j104-d_1_21