人の存在感の創出手法を導入したARナビゲーションシステムの実装,有吉諒真,谷中健大朗,高汐一紀,信学技報, vol. 122, no. 193, CNR2022-12, pp. 23-28, 2022年9月.

AR 分野においてナビゲーションはスマートフォンの利用が多いが手が塞がり没入感を損なうため,ARのスタンドアローン式HMD を使用することが望ましい. しかし,HMD を利用したAR ナビゲーションは外部環境の影響を受けやすく没入感や臨場感を阻害する.また,AR ナビゲーションの利用先で過去にいた人の痕跡を知るためには二次元コンテンツの視聴などに限られ,臨場感や存在感を得ることはできない.本研究では,それら臨場感や存在感を損なう要因を排除し,アバタとインタラクションを可能なAR ナビゲーションの実装を目標とする.その前段階として,今回は存在感を持つアバタの表示方法を調査する.HoloLens 2 を使用して3 つの抽象度でアバタを段階分けし,それぞれモーションを付与し慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに重畳させて実験をした.結果は抽象度が一番低く人間に一番近い外見のアバタが特定の質問項目で存在感が高まることが示唆された.また,アバタの外見が現実に近いとアバタに恐怖心や違和感を感じる「不気味の谷現象」を観測した.