AR 分野においてナビゲーションはスマートフォンの利用が多いが手が塞がり没入感を損なうため,ARのスタンドアローン式HMD を使用することが望ましい. しかし,HMD を利用したAR ナビゲーションは外部環境の影響を受けやすく没入感や臨場感を阻害する.また,AR ナビゲーションの利用先で過去にいた人の痕跡を知るためには二次元コンテンツの視聴などに限られ,臨場感や存在感を得ることはできない.本研究では,それら臨場感や存在感を損なう要因を排除し,アバタとインタラクションを可能なAR ナビゲーションの実装を目標とする.その前段階として,今回は存在感を持つアバタの表示方法を調査する.HoloLens 2 を使用して3 つの抽象度でアバタを段階分けし,それぞれモーションを付与し慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに重畳させて実験をした.結果は抽象度が一番低く人間に一番近い外見のアバタが特定の質問項目で存在感が高まることが示唆された.また,アバタの外見が現実に近いとアバタに恐怖心や違和感を感じる「不気味の谷現象」を観測した.
パートナーロボットの受容要因の分析 ~ 動物らしさとは何か? ~, 齋藤光輝, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 121, no. 267, CNR2021-9, pp. 11-15, 2021年11月.
本研究では,パートナーロボットが家庭に受容されていく中でどのような動物らしさが重要になっているかを分析した.アンケートでは視覚的・聴覚的・触覚的要素の動物らしさを調査し,それぞれの要素の部分的な動物らしさと利用期間の間でどのような傾向があるのか分析した.また,ユーザがロボットの動物らしさをどのような側面から感じ取っているのかを,ロボットの各要素の動物らしさと生物感の関係を分析して示した.
その結果,ロボットの知性や形の動物らしさ等の項目が受容要因となっている可能性が示唆された.また,ロボットの動きの滑らかさ,声以外の音量の動物らしさといった要素からユーザはロボットに生物感を感じていることが示唆された.
A Feasibility Study of An Intelligent Environmental Monitoring System Based On The Ethereum Blockchains, Cheng Yiyang, Kazunori Takashio, 2021 International Conference on Information and Communication Technology Convergence (ICTC 2021), pp. 435-439, doi: 10.1109/ICTC52510.2021.9621007.
In today’s era, the security and authenticity of information have always received extensive attention, especially when people have doubts about the authenticity of data. Hence, a traceable data storage platform with the feature that theoretically cannot be tampered with becomes extremely important. Under such demands, the deployment of smart contracts can effectively trace the source and discover problems. This article introduces an environmental data detection platform based on blockchain technology and smart contracts. It aims to record the data continuously and verify the authority of each transaction.
テレプレゼンスロボットにおける遠隔ユーザの身体性を考慮した表示手法の検討, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 121, no. 93, CNR2021-3, pp. 8-13, 2021年7月.
テレプレゼンスロボットを用いることで,ユーザは遠隔地で行われている空間を自由に移動することで臨場感を感じることができる.しかし,遠隔ユーザと会話を行う現地ユーザの視点に立つと,市販のテレプレゼンスロボットは遠隔ユーザの顔面部分を表示するディスプレイのみを搭載しているものが大半であり,感じられる遠隔ユーザの存在感は限定的である.そこで,本編では,遠隔ユーザの全身を表示することで遠隔ユーザの身体性を再現するテレプレゼンスロボットのプロトタイピングを行った.また,プロトタイプを用いて,表示範囲の違いによる影響を調べる実験を行った.全身表示型テレプレゼンスロボットは,現地ユーザが感じる遠隔ユーザの存在感工場に寄与することが示唆された.
HRIにおける視線行動が参与者間の共通基盤構築に及ぼす影響, 桑原多瑛, 山口留実, 渡辺巧登, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 120, no. 394, CNR2020-17, pp. 22-27, 2021年3月.
HRI(Human-Robot Interaction)でスムーズな会話を行うためには,ロボットにマルチモーダルに人間の会話を解釈し,また言語と動作の両方を適切に人間に解釈してもらうためのシステムが必要である.本研究では,会話において会話参加者が持つ情報のうち,視線行動に着目し,HRIにおける共通基盤構築の補助となるようなロボットの視線行動を考察する.HHI(Human-Human Interaction)を元に視線行動の分析を行い,ロボットに適切な視線行動の仮説を立てて実装し,評価実験を行う.
複数人対話での共通基盤構築における非言語行動因子および社会的行動因子の分析,山口留実,渡辺巧登,桑田多瑛,古谷優樹,第37回人間情報学会講演集2020年12月10日
複数人対話において,参与者同士は発話内容をお互いに理解しているかどうかを確認し,共通基盤構築を行いながら対話を進める.共通基盤構築に関する研究は主に言語的な行動に着目して行われているが,我々は言語的因子のみならず非言語行動因子及び社会的対話行動因子が共通基盤会話構築に影響すると考えている.我々は共通基盤構築過程における各因子を観察できる課題として旅行計画立案課題を採用し,遠隔対話状況下において動画コーパスの収録を行っている.その目的は,遠隔対話と直接対話におけるこれら行動因子の差異,更には共通基盤構築や合意形成の影響に関して理解を深めることにあるが,本稿では,予備的分析において観察された社会的関係性による配慮行動や姿勢の同調行動について報告する.
v-IoT : AR による仮想的 IoT 環境の構築と連想概念による適切な情報提示オブジェクト選択手法, 谷中健大朗, 高汐一紀, 電子情報通信学会論文誌
計算機の低価格化及び小型化やクラウド型情報インフラの整備により,様々なIoT製品が登場した.近年では,ユーザに対し能動的に生活支援情報を提示する機能を持つ機器も増えている.しかし,日用品等,表面的な形状を考慮した情報をモノ自身から提示することは難しく,既にスピーカやディスプレイが搭載されている機器から多種多様な情報が提供されているのが実情である.本研究ではIoT機器化困難なモノを仮想的にIoT機器化する手法,v-IoTシステムを提案,有効性の検証を行った.本手法は,ユーザへ提示する情報と促したい行動を,モノに付随する機能や動詞情報を用いてマッチングを行う.連想概念辞書を用いて通知内容から取得できる動詞と距離が近いモノを指定することにより,v-IoTシステムは行動の連想が容易なモノを介してユーザに情報提示を行うことが可能となる.実験結果から,提案手法がユーザにとって行動を連想しやすいモノを選択できるシステムであることを示した.
Telepresence Robot Blended with a Real Landscape and Its Impact on User Experiences, Yuki Furuya, Kazunori Takashio, 2020 29th IEEE International Conference on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2020), Aug to Sept, 2020
Telepresence robots using traditional video chats do not yet fully represent the presence of a remote user. To enhance that presence, we propose a novel approach that replaces the background of the remote user with a real-time captured image of the area behind the robot. We assumed that the background of the remote user, which was visible on the telepresence robot’s display, was one reason for the reduction in presence because it might remind local viewers that the remote user is in another place. We found that our approach effectively enhanced the presence of remote user and reduced the negative impression of a delay. In this paper, we describe the new approach, its implementation, and an evaluation of the system. We evaluated the subjective impressions of communication through the proposed system. This approach also protects the privacy of the remote user and makes it more acceptable to people using telepresence robots from private places, e.g., a sickroom in a hospital.
[学生講演奨励賞]遠隔者の身体的存在感を高めるテレプレゼンスロボットの提案, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 446, CNR2019-54, pp. 53-57, 2020年3月.
テレプレゼンスロボットは遠隔者の身体的・社会的存在感を再現し,円滑な遠隔コミュニケーションを支援するロボットである.しかし,既存のビデオチャットを用いたロボットでは,完全に遠隔者の存在感が再現されているとはいえない.一因として,画面上における背景の存在がある.背景によって,遠隔者が別の場所に居ることを 明確に意識させてしまうからだ.そこで我々は,ビデオチャットにおける遠隔者映像の背景部分のみをテレプレゼンスロボットが置かれている場の背景映像にリアルタイムに合成することにより,遠隔者の身体的存在感を向上させた ロボットの実装を行い,その評価を行った.
[学生講演奨励賞]複数人会話における画面内エージェントとのコミュニケーションチャネル確立手法の提案, 渡邉巧登, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 446, CNR2019-53, pp. 47-51, 2020年3月.
近年3DCGキャラクタが普及し,対話型エージェントのアバタとして画面内エージェントに使用されつつある,しかし画面内エージェントではモナリザ効果というユーザに対する注視が曖昧になる問題が存在する.本研究では会話対象を瞳に映す手法を提案し話者受話者傍観者の分類を行う.またその時の受話者と傍観者に対して,画面内エージェントが適切な対象に会話していたかを実験,検証した.