ロボットの育て方

2018年度ROMANにて出展

2017年度ORF(Open Research Forum)にて出展

現在のコミュニケーションロボットは不適切な性格付けにより,ユーザに不自然さや違和感を与えてしまうことが多い.ユーザがロボットに対して愛着を持てるためには,長期間インタラクションを見据えた,ユーザに対応してくれる性格形成モデルのエンジン(C 2 AT 2 HUB engine)を作成した.このC 2 AT 2 HUB Engineではロボットの情動を「対人情動」と「情動」の2種類によって定義し,それぞれの遷移傾向をロボットに対するユーザ行動の履歴によって調整することで穏やかに性格形成を行う.

 

Social Care Robot :心の機微と場の空気を理解する 介護支援ロボット

ORF (Open Research Forum) 2017にて出展

常時ネットワークに接続された次世代のロボットは,自ら M2M(Machine to Machine)コミュニケーション,M2S(Machine to Service)コミュニケーションを駆使する存在として,あるものはユビキタス情報サービスのアクターとして人々と共存し,またあるものは人の身体拡張を支援する,より社会的な存在となります.我々はこうしたロボットをソーシャブルロボット(Sociable Robot)と呼びます.社会性を備えたロボット,すなわち,ロボット同士,機械,情報サービス,そして人と能動的に繋がるロボットです.ユーザの感情を理解し,ユーザの代わりにロボットが感情を考慮した上でコミュニケーションを行うシステムを構築した.

C2AT2 HUB: 人の心理モデルに基づいたロボットの長期的な性格形成手法 : 川那子進太郎, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 443, CNR2017-45, pp. 127-132, 2018年2月.

現状のコミュニケーションロボットの多くはロボット個体別の個性をもっておらず,個性の欠落がロボットへの愛着の低下やロボットとのコミュニケーションにおける違和感の原因となっている.そこで本研究では,長期的なインタラクションによってロボットの性格を形成する手法であるC${}^{2}$AT${}^{2}$ HUBを提案する.本手法では,ロボットの情動を「対人情動」と「情動」の2種類によって定義し,それぞれの情動の遷移傾向を,ロボットに対するユーザ行動の履歴によって調整することで緩やかに性格形成を行う.評価実験結果から,本手法によってロボットがより自然に性格付けされ,ロボットの印象や愛着が向上することが明らかになった.

DigiFAB環境と連携したデザイン指向STEM教育ロボットキット : 真島大樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 198, CNR2017-14, pp. 31-36, 2017年9月.

世界中でSTEM教育が盛んになる中,日本においてもTechnologyやEngineeringの両面からの教育の充実が求められており,センシング,情報処理,アクチュエーションの基礎を学ぶツールとして,ロボットをターゲットとした教育ツールが注目されてきた.一方で,従来の教育用ロボットキットはロボットの製作を目的としたエンジニアリング層からのボトムアップ思考のアプローチが主であり,インタラクションやアニマシーといった,トップダウン型のロボットデザイン分野への適用は難しかった.本稿では,デジタルファブリケーション環境と連携することによりデザイン指向のロボット教育を可能とする,オープンソースSTEM教育向けのロボットキットの開発事例を報告する.

Ex-Amp Robot: Expressive Robotic Avatar with Multimodal Emotion Detection to Enhance Communication of Users with Motor Disabilities : Ai Kashii, Kazunori Takashio and Hideyuki Tokuda, 26th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2017), Aug to Sept, 2017.

In current society, there are numerous robots made for various purposes, including manufacturing, cleaning, therapy, and customer service. Other robots are used for enhancing H2H communication. In this research, we proposed a robotic system which detects the user’s emotions and enacts them on a humanoid robot. By using this robotic avatar, users with motor disabilities are able to extend their methods of communication, as a physical form of expression will be added to the conversation.

MoDe:ヒューマノイド型ロボットのためのモーションデフォルメツール : 林亮太(市立浦和), 堀江拓実, 真島大樹, 川那子進太郎, 宮本凜太郎, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 95, CNR2017-8, pp. 41-44, 2017年6月.

ロボットは人間の動きをそのまま再現することは構造上困難であるため,人間の動きを適度にデフォルメすることが必要となる.本論文では,ヒューマノイドロボットのためのモーションデフォルメツールMoDeを提案,そのプロトタイプを紹介するとともに,適用実験を通して,モーションデザインにおける有用性と今後の展望を議論する.本プロトタイプでは,モーションキャプチャによって取得された人間の動作データをデフォルメするパラメータとして,モーションの大きさ(Scale)と分解能(Step)を実装,両パラメータを適正値に設定することで,ヒューマノイド型ロボット向けのキャラクタ付けされたモーションデータをリアルタイム生成することが可能となった.

隣接ペアの連鎖を考慮した対話フローのアトミシティ検出とその効果 : 堀江拓実, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 95, CNR2017-5, pp. 23-28, 2017年6月.

多対多のインタラクションを想定したコミュニケーションロボットでは,動的な対話タスクの生成と,対話相手に違和感や不快感を与えないタイミングでの対話タスクの割り込み制御を行う必要がある.本論文では,隣接ペアとその連鎖を考慮して検出したアトミシティを利用した会話スケジューリングが,本来の会話相手に対して良い印象を与えるかを検証した.実験には,Artificial Intelligence Markup Language (AIML) を拡張し,隣接ペアを表現可能にした対話タスク記述言語 AIML-ap を新たに定義し,用いた.実験の結果,隣接ペアの連鎖を考慮した会話スケジューリングが本来の会話相手に対して良い印象を与える可能性を示した.