Publications

2025〜


交替潜時の同調が対話に与える影響分析と決定モデルの構築,宇治川 遥祐 ・高汐 一紀 ,HAIシンポジウム2025,2025年2月

人間は固有の精神テンポ(パーソナルテンポ)を持ち,テンポの一致がシステムとの円滑な対話において重要な役割を果たす.本研究は,対話におけるテンポの同調,特に交替潜時と発話速度の関係性に着目し,これらが効果的なコミュニケーションに果たす役割を分析した.動的時間伸縮法を用いた分析により,交替潜時の同調が対話に与える影響を明らかにした.さらに,発話速度と交替潜時の相関関係を明らかにし,音声対話システムのための発話タイミング決定モデルを構築した.この研究成果は,より自然で適応的な対話システムの開発に寄与するものである.

2024〜


Synchronization of Speech Rate to User’s Personal Tempo in Dialogue Systems and Its Effects, Yosuke Ujigawa・Kazunori Takashio(Keio Univ),2024 IEEE International Conference on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN),2024年8月

Every individual lives in daily lives in own unique tempo, called Personal Tempo. Tempo is also highly important in dialogue situations, and it is thought that if the tempo can be matched with the conversational partner, it will lead to smoother communication with a higher level of comprehension. Spoken-dialogue systems have been used in many situations, and by personalizing dialogue on the basis of the user’s tempo, it is thought that dialogue will be able to make it easier to speak and make people want to speak. Previous research has focused on methods for encouraging users to change their tempo to be in tune with the tempo of their dialogue partner. However, a conversation that differs from the user’s tempo can be stressful and burdensome for the user in the process of tuning in.Therefore, we define personal tempo as speech speed, which is the number of moras divided by the duration of speech and propose a speech-speed control method for spoken-dialogue systems. We implemented our method in a spoken-dialogue system that synchronizes speech with the user. We verified the effectiveness of the proposed method by analyzing its impact on the comprehension of speech and user impressions of the spoken-dialogue system. The results indicate that significant differences were obtained with the proposed method between impression and comprehension of the speech content.

共通基盤構築過程におけるモダリティの影響分析を目的とした協働タスク課題の提案,緑川詠介・宇治川遥祐・高汐一紀(慶大)・東中竜一郎(NTT),電子情報通信学会技術研究報告,vol. 123, no. 394,pp. 47 – 52,2024年2月

著者らは,ヒューマンロボットインタラクションへの適用を目指し,協働タスク中の人間同士の対話における共通基盤構築過程を分析,同プロセスを円滑に進める要因について調査してきた.しかし,協働タスクとして設定した課題では,作業と対話を同時に行う必要があることから非言語行動が表出しづらく,モダリティによる影響の分析が困難という問題があった.そこで本稿では,モダリティによる共通基盤構築への影響分析を実現する新たな協働タスク課題として共同物語並び替え課題を提案する.本課題の特徴は,作業と伝達のフェーズの分離および物語の並び替えに着目する点である.提案タスクを用いて予備的な対話実験を行ったので,その分析結果を報告する.

植物×ARエージェントによる一人暮らしの中での発話促進,戸沢実・高汐一紀(慶大),電子情報通信学会技術研究報告,vol. 124, no. 143,2024年8月

パンデミック以降,対面コミュニケーションの減少と孤独感の増加が問題となっている.グリーンアメ ニティとして部屋に飾られる観葉植物は,人間が愛着を抱きやすい最も身近な植物である.Mixed Reality 技術を活 用し,植物とのインタラクションを通じて信頼関係の構築と自己対話を促進することで,孤独感の軽減に寄与する. エージェントが擬人化を促し,自己対話による発話を増やすことでセルフケアを促進する.観葉植物を対話相手と する研究は,プライバシーを保ちながらポジティブな感情を引き出すことが期待される.

言語モデルを用いた発話内容に基づくFACS生成モデルの提案,小橋龍人・宇治川遥祐・高汐一紀(慶大),電子情報通信学会技術研究報告,vol. 124, no. 143,2024年8月

本研究では、発話テキストから表情を生成するモデルを提案する。 従来の研究では、音声から表情のアニメーションを生成する手法が提案されてきたが、 本研究ではテキストから直接表情を生成することに焦点を当てる。 出力はFACSに基づいたAction Unit(AU)を用い、 Transformerのデコーダを用いずにエンコーダのみで構成することで、 計算量を削減し、モデルの拡張性を高める事を目指す。 また、スライディングウィンドウ方式で学習を行い、トークン毎に生成することで時系列に沿った生成を可能とする。 学習には、WEB上に公開された動画を収集し、表情検出と文字起こしを行ってデータセットを構築した。

ストレス緩和を目的とした握るロボットの検討とプロトタイピング,塩谷明日香・秀島裕樹・高汐一紀(慶大),電子情報通信学会技術研究報告,vol. 123, no. 394,pp. 35 – 40,2024年2月

親しい人に手を握ってもらうと安心したり,ストレスが和らぐ効果がある.入院中などの隔離された環境や一人暮らしの家庭では人と触れ合うことができないため,ストレスを抱えている際に人の代わりに手を握ってくれるロボットを提案する.本稿では病院でのフィールドワークを踏まえ,ロボットを抱える強さによりストレスの有無を判断する手法の提案と,ぬいぐるみ型ロボットのプロトタイピングを行なった.ロボットを抱える強さとストレスの関係性について調べるため,タスク時と安静時でロボットを抱える強さを比較した.結果として,タスク時では安静時に比べて弱い力でロボットを抱えていることがわかった.今後は,ロボットを抱える力が弱まったタイミングでロボットに手を握らせることで,ストレス軽減への影響について検証する.

痛みに関する自己開示を促す対話ロボットの検討,島田愛里・宇治川遥祐・高汐一紀(慶大),電子情報通信学会技術研究報告,vol. 123, no. 394,pp. 41 – 46,2024年2月

本研究は,慢性的な痛みを抱える人を対象として,ユーザの違和感に気づく対話システムを構築することを最終的な目的としている. 従来,先行研究の多くは見守りを目的とした雑談機能に注目しているが,痛みを聞き出すことに着目した研究は多くない.主観的な感覚である「痛み」を言語化して正確に伝えることなどの痛みに関する自己開示は困難である.そこで,ユーザとの日常会話から,ユーザが痛みを感じていることを検知して,痛みについて詳しく聞き,内容を記録,共有する対話システムの実装を目指し,本稿では「痛み」

パーソナルテンポに同調する発話システムの実装と評価,宇治川遥祐・高汐一紀(慶大),電子情報通信学会技術研究報告,vol. 123, no. 347CNR2023-30,pp. 25 – 30,2023年1月

人間は日常生活の中で、パーソナルテンポと呼ばれる自分独自のテンポをキープしている。対話の場面においてもテンポの重要性は高く、対話相手とテンポを揃えることができれば、スムーズかつ理解度がより高い会話につながると考えられる。本稿ではパーソナルテンポをモーラ数を持続時間で割った値である話速で定義し、ユーザの話速に合わせて発話するシステムを実装する。内容の理解度への影響を分析する事で、対話への有用性を検証する。

2023〜


Face Robot Performing Interaction with Emphasis on Eye Blink Entrainment,Iimori, Masato・Furuya, Yuki・Takashio, Kazunori(Keio Univ),2023 32nd IEEE International Conference on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN),2023年8月

Eyes play a significant role in human-human interaction, and blinking is particularly important as it can indicate a pause in the conversation and even lead to eye blink entrainment. However, most communication robots cannot reproduce eye blink movements due to cost constraints. Thus, our aim is to create a low-cost robot that can physically reproduce eye blink movements and induce eye blink entrainment. In this paper, we describe the implementation of the robot and evaluate the subjective impression of the robot’s eye blink movements. Our results suggest that the robot’s blinking behavior at pauses in the conversation facilitated the participants’ understanding of the robot’s speech. Our findings also suggest that simulating eye blink entrainment movement can increase the participant’s affinity and acceptance towards the robot in certain cases, and if the blinking is not well designed, affinity may be adversely affected

雑談対話システムにおける言い訳を用いた対話破綻回避手法の提案と評価,小笠原隆晴・古谷優樹・高汐一紀 (慶大),電子情報通信学会技術研究報告,vol.122,no. 394,pp. 7-12,2023年2月

対話システムとの自然な対話を実現するには,対話破綻を解消する必要がある.しかし,対話破綻を検出する研究は多く行われており,手法も確立されている一方で,対話破綻検出を行った後,どのように対話破綻を回避するのかという対話破綻回避をテーマとして扱った研究は,相対的に見て数が少なく,明確な手法も確立されていない.そこで,本研究ではこの対話破綻を,システムが言い訳を返すことで回避する手法を提案する.言い訳は主に自分の失敗・過失に対する弁明・謝罪と定義されている.これを対話システムに置き換えると,対話破綻をシステム視点での失敗・過失として解釈できる.以上の経緯から,ユーザーに好印象を与える言い訳応答を返すことで対話破綻回避を行うモジュールを作成し,対話システムへの実装を行った.また,システムの実運用を想定とした主観視点の印象評価実験と,対話内容の定性的な評価を行う客観視点の印象評価実験の2種類の実験を実施し,提案手法の有効性を示した.

ロボティクスと XR による New Experience ,高汐 一紀,NATURE INTERFACE Aug. 2023 no.88 pp.16-19

本稿では、著者らのラボ(Keio SFC Sociable Robots Lab.)が進める Harmonious Augmented Town プロジェクトを紹介する。同プロジェクトでは、XR とロボティクスを駆使した新しい街の DX プラットフォームを、鳥取県内の特定地域をモデルケースに構築することを目指している。

2022〜


A Preliminary Study for the Ethereum Blockchain-Based Smart Home Systems,C. Yiyang ・K. Takashio (Keio Univ.), 2022 13th International Conference on Information and Communication Technology Convergence (ICTC),2022, pp. 71-76

The application of blockchain technology means that smart home devices will be greatly improved in terms of versatility and security, allowing people to use them more safely and conveniently in their daily home life. For smart home practitioners, blockchain technology means the arrival of the next “window”, indicating that the industry will develop from the budding stage to the popular stage. This paper proposes a smart home system based on the Ethereum blockchain as a platform. Through the use of smart contract technology, it not only builds a closed-loop management platform from energy suppliers to end users but also realizes cross-ecological communication. At the same time, this paper also examined the latency problem of “solidity” in the multi-contract call environment. By comparing the local pace test and the blockchain-side pace test, we found that the function invoked pace inconsistent between local-side and chain-side existed but the delay can be controlled within one second.

モダリティと対話者間関係性が共通基盤構築過程に与える影響の分析 , 古谷優樹・齋藤光輝・小倉功裕(慶大)・光田 航・東中竜一郎(NTT)・高汐一紀(慶大), 信学技報, vol. 121, no. 397, CNR2021-32, pp. 25-31, 2022年3月.

ロボットやバーチャルエージェントが人と自然に対話するためには,ユーザーとの共通基盤を構築することが不可欠である.人間同士の対話における共通基盤の構築過程を調査した先行研究は少なく,その多くはテキストチャットをベースにしたものである.そこで本研究では,対話のモダリティ,および,話者間の社会的関係性に着目し,これらの要素が共通基盤の構築過程に与える影響を調査する.具体的には,対話のモダリティとして音声または映像,話者間の関係性として初対面または知人という条件において,話者間で共通基盤が構築される対話の収集,および分析を行った.その結果,より多彩なモダリティやより深い社会的関係性が共通基盤の構築を加速させることが示唆された.本研究で収集したコーパス,および,分析の結果はロボットの研究開発にも有用である.

Dialogue Corpus Construction Considering Modality and Social Relationships in Building Common Ground. Yuki Furuya, Koki Saito, Kosuke Ogura, Koh Mitsuda, Ryuichiro Higashinaka, and Kazunori Takashio. 2022.In Proceedings of the Thirteenth Language Resources and Evaluation Conference, pages 4088–4095, Marseille, France. European Language Resources Association.

Building common ground with users is essential for dialogue agent systems and robots to interact naturally with people. While a few previous studies have investigated the process of building common ground in human-human dialogue, most of them have been conducted on the basis of text chat. In this study, we constructed a dialogue corpus to investigate the process of building common ground with a particular focus on the modality of dialogue and the social relationship between the participants in the process of building common ground, which are important but have not been investigated in the previous work. The results of our analysis suggest that adding the modality or developing the relationship between workers speeds up the building of common ground. Specifically, regarding the modality, the presence of video rather than only audio may unconsciously facilitate work, and as for the relationship, it is easier to convey information about emotions and turn-taking among friends than in first meetings. These findings and the corpus should prove useful for developing a system to support remote communication.

人の存在感の創出手法を導入したARナビゲーションシステムの実装,有吉諒真,谷中健大朗,高汐一紀,信学技報, vol. 122, no. 193, CNR2022-12, pp. 23-28, 2022年9月.

AR 分野においてナビゲーションはスマートフォンの利用が多いが手が塞がり没入感を損なうため,ARのスタンドアローン式HMD を使用することが望ましい. しかし,HMD を利用したAR ナビゲーションは外部環境の影響を受けやすく没入感や臨場感を阻害する.また,AR ナビゲーションの利用先で過去にいた人の痕跡を知るためには二次元コンテンツの視聴などに限られ,臨場感や存在感を得ることはできない.本研究では,それら臨場感や存在感を損なう要因を排除し,アバタとインタラクションを可能なAR ナビゲーションの実装を目標とする.その前段階として,今回は存在感を持つアバタの表示方法を調査する.HoloLens 2 を使用して3 つの抽象度でアバタを段階分けし,それぞれモーションを付与し慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに重畳させて実験をした.結果は抽象度が一番低く人間に一番近い外見のアバタが特定の質問項目で存在感が高まることが示唆された.また,アバタの外見が現実に近いとアバタに恐怖心や違和感を感じる「不気味の谷現象」を観測した.

瞬きの引き込みを利用したインタラクティブロボットの実装と評価,飯森優斗,古谷優樹,高汐一紀,信学技報, vol. 122, no. 193, CNR2022-10, pp. 13-17, 2022年9月.

目は人とロボットのインタラクションにおいて重要な要素である.特に瞬きは,瞬きの引き込み現象によって会話の切れ目を共有するといった重要な役割を持つことが知られている.しかし,一般的なコミュニケーションロボットでは,価格を抑えるために瞬きなどを再現する機構が削減されている.そこで,瞬きを物理的に再現したロボットを低コストで実装し,瞬きの引き込み現象を起こすことを目的とした.本稿では,ロボットの実装および実装したロボットの瞬き動作の印象評価について報告する.実験の結果,瞬きの引き込みを再現する動作はロボットの親和性を一部において高めることが示唆された.

2021〜


パートナーロボットの受容要因の分析 ~ 動物らしさとは何か? ~, 齋藤光輝, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 121, no. 267, CNR2021-9, pp. 11-15, 2021年11月.

本研究では,パートナーロボットが家庭に受容されていく中でどのような動物らしさが重要になっているかを分析した.アンケートでは視覚的・聴覚的・触覚的要素の動物らしさを調査し,それぞれの要素の部分的な動物らしさと利用期間の間でどのような傾向があるのか分析した.また,ユーザがロボットの動物らしさをどのような側面から感じ取っているのかを,ロボットの各要素の動物らしさと生物感の関係を分析して示した. その結果,ロボットの知性や形の動物らしさ等の項目が受容要因となっている可能性が示唆された.また,ロボットの動きの滑らかさ,声以外の音量の動物らしさといった要素からユーザはロボットに生物感を感じていることが示唆された.

A Feasibility Study of An Intelligent Environmental Monitoring System Based On The Ethereum Blockchains, Cheng Yiyang, Kazunori Takashio, 2021 International Conference on Information and Communication Technology Convergence (ICTC 2021), pp. 435-439, doi: 10.1109/ICTC52510.2021.9621007.

In today’s era, the security and authenticity of information have always received extensive attention, especially when people have doubts about the authenticity of data. Hence, a traceable data storage platform with the feature that theoretically cannot be tampered with becomes extremely important. Under such demands, the deployment of smart contracts can effectively trace the source and discover problems. This article introduces an environmental data detection platform based on blockchain technology and smart contracts. It aims to record the data continuously and verify the authority of each transaction.

テレプレゼンスロボットにおける遠隔ユーザの身体性を考慮した表示手法の検討, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 121, no. 93, CNR2021-3, pp. 8-13, 2021年7月.

テレプレゼンスロボットを用いることで,ユーザは遠隔地で行われている空間を自由に移動することで臨場感を感じることができる.しかし,遠隔ユーザと会話を行う現地ユーザの視点に立つと,市販のテレプレゼンスロボットは遠隔ユーザの顔面部分を表示するディスプレイのみを搭載しているものが大半であり,感じられる遠隔ユーザの存在感は限定的である.そこで,本編では,遠隔ユーザの全身を表示することで遠隔ユーザの身体性を再現するテレプレゼンスロボットのプロトタイピングを行った.また,プロトタイプを用いて,表示範囲の違いによる影響を調べる実験を行った.全身表示型テレプレゼンスロボットは,現地ユーザが感じる遠隔ユーザの存在感工場に寄与することが示唆された.

HRIにおける視線行動が参与者間の共通基盤構築に及ぼす影響, 桑原多瑛, 山口留実, 渡辺巧登, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 120, no. 394, CNR2020-17, pp. 22-27, 2021年3月.

HRI(Human-Robot Interaction)でスムーズな会話を行うためには,ロボットにマルチモーダルに人間の会話を解釈し,また言語と動作の両方を適切に人間に解釈してもらうためのシステムが必要である.本研究では,会話において会話参加者が持つ情報のうち,視線行動に着目し,HRIにおける共通基盤構築の補助となるようなロボットの視線行動を考察する.HHI(Human-Human Interaction)を元に視線行動の分析を行い,ロボットに適切な視線行動の仮説を立てて実装し,評価実験を行う.

2020〜


v-IoT : AR による仮想的 IoT 環境の構築と連想概念による適切な情報提示オブジェクト選択手法, 谷中健大朗, 高汐一紀, 電子情報通信学会論文誌

計算機の低価格化及び小型化やクラウド型情報インフラの整備により,様々なIoT製品が登場した.近年では,ユーザに対し能動的に生活支援情報を提示する機能を持つ機器も増えている.しかし,日用品等,表面的な形状を考慮した情報をモノ自身から提示することは難しく,既にスピーカやディスプレイが搭載されている機器から多種多様な情報が提供されているのが実情である.本研究ではIoT機器化困難なモノを仮想的にIoT機器化する手法,v-IoTシステムを提案,有効性の検証を行った.本手法は,ユーザへ提示する情報と促したい行動を,モノに付随する機能や動詞情報を用いてマッチングを行う.連想概念辞書を用いて通知内容から取得できる動詞と距離が近いモノを指定することにより,v-IoTシステムは行動の連想が容易なモノを介してユーザに情報提示を行うことが可能となる.実験結果から,提案手法がユーザにとって行動を連想しやすいモノを選択できるシステムであることを示した.

複数人対話での共通基盤構築における非言語行動因子および社会的行動因子の分析,山口留実,渡辺巧登,桑田多瑛,古谷優樹,第37回人間情報学会講演集2020年12月10日

複数人対話において,参与者同士は発話内容をお互いに理解しているかどうかを確認し,共通基盤構築を行いながら対話を進める.共通基盤構築に関する研究は主に言語的な行動に着目して行われているが,我々は言語的因子のみならず非言語行動因子及び社会的対話行動因子が共通基盤会話構築に影響すると考えている.我々は共通基盤構築過程における各因子を観察できる課題として旅行計画立案課題を採用し,遠隔対話状況下において動画コーパスの収録を行っている.その目的は,遠隔対話と直接対話におけるこれら行動因子の差異,更には共通基盤構築や合意形成の影響に関して理解を深めることにあるが,本稿では,予備的分析において観察された社会的関係性による配慮行動や姿勢の同調行動について報告する.

Telepresence Robot Blended with a Real Landscape and Its Impact on User Experiences, Yuki Furuya, Kazunori Takashio, 2020 29th IEEE International Conference on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2020), Aug to Sept, 2020

Telepresence robots using traditional video chats do not yet fully represent the presence of a remote user. To enhance that presence, we propose a novel approach that replaces the background of the remote user with a real-time captured image of the area behind the robot. We assumed that the background of the remote user, which was visible on the telepresence robot’s display, was one reason for the reduction in presence because it might remind local viewers that the remote user is in another place. We found that our approach effectively enhanced the presence of remote user and reduced the negative impression of a delay. In this paper, we describe the new approach, its implementation, and an evaluation of the system. We evaluated the subjective impressions of communication through the proposed system. This approach also protects the privacy of the remote user and makes it more acceptable to people using telepresence robots from private places, e.g., a sickroom in a hospital.

[学生講演奨励賞]複数人会話における画面内エージェントとのコミュニケーションチャネル確立手法の提案, 渡邉巧登, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 446, CNR2019-53, pp. 47-51, 2020年3月.

近年3DCGキャラクタが普及し,対話型エージェントのアバタとして画面内エージェントに使用されつつある,しかし画面内エージェントではモナリザ効果というユーザに対する注視が曖昧になる問題が存在する.本研究では会話対象を瞳に映す手法を提案し話者受話者傍観者の分類を行う.またその時の受話者と傍観者に対して,画面内エージェントが適切な対象に会話していたかを実験,検証した.

[学生講演奨励賞]遠隔者の身体的存在感を高めるテレプレゼンスロボットの提案, 古谷優樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 446, CNR2019-54, pp. 53-57, 2020年3月.

テレプレゼンスロボットは遠隔者の身体的・社会的存在感を再現し,円滑な遠隔コミュニケーションを支援するロボットである.しかし,既存のビデオチャットを用いたロボットでは,完全に遠隔者の存在感が再現されているとはいえない.一因として,画面上における背景の存在がある.背景によって,遠隔者が別の場所に居ることを 明確に意識させてしまうからだ.そこで我々は,ビデオチャットにおける遠隔者映像の背景部分のみをテレプレゼンスロボットが置かれている場の背景映像にリアルタイムに合成することにより,遠隔者の身体的存在感を向上させた ロボットの実装を行い,その評価を行った.

HRIにおける割込み時の会話順合意形成コーパスの構築にむけて,堀江拓実, 山口留実, 桑原多瑛, 渡辺巧登, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 446, CNR2019-52, pp. 41-46, 2020年3月.

日常生活において,会話の最中に割込み者が現れて全くコンテキストの異なる会話への参与を求めてくることがしばしば起こる.この割込み場面において,会話参加者らは会話順についての合意形成を行わなければならないが,会話順合意形成タスクは短時間で公正さを追求することが求められるという特徴を持つ.我々は,割込みが発生した際にどのように会話順についての合意形成が行われるかについて分析を目的とした人–ロボット間の会話コーパスの構築を目指している.本論文ではコーパスの設計と分析の指針について議論する.

2019


[優秀発表賞] 遠隔者の多人数会話への参与を支援するテレプレゼンス仲介ロボット, 堀江拓実, 山口留実, 桑原多瑛, 古谷優樹, 伊賀理心, 飯森優斗, 勢子雄大, 高汐一紀, 第34回 人間情報学会講演集, pp. 9-10,2019年12月

多人数参加型のテレコミュニケーションでは,Fact-to-Faceでの場合と比較して遠隔者の非言語的な振る舞いが伝 わりづらく,会話における発話権の取得が困難,すなわち会話に参加しにくいという問題を抱えていた.この問 題に対し,テレプレゼンスロボットの身体性を強化しアバターロボット化することで,遠隔者の非言語的な振る 舞いを直接的に他の参与者に伝え,発話権の取得を支援する手法が議論されている.しかし,これらの手法では 実際に話者交代が起こるかは受け手の判断に依るため,不確実性が高い.本稿では,仲介者としてより積極的に 遠隔者の発話権の取得を支援するエージェントソフトウェアを搭載したテレプレゼンスロボットの実現を目指し, その第一段階として,遠隔者の会話参与状況と被注視状況の関係性について分析する. http://www.ahi-soc.info/pdf/34thAHI_proceedings.pdf

空間内へ溶け込むテレプレゼンスロボットの実装と評価, 古谷優樹, 堀江拓実, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 267, CNR2019-37, pp. 77-78, 2019年11月.

テレプレゼンスロボットなどに搭載されているビデオチャットでは,遠隔で会話に参加している相手の背景が見えてしまうことによって,相手が別の空間にいるということが意識されてしまう.そこで我々は,ビデオチャットにおける相手の映像の背景部分のみをテレプレゼンスロボットが置かれている場の背景映像に入れ替えることで,遠隔参加者との一体感が高まりコミュニケーションがより活発になる,という仮説を立て研究を行なっている.本研究ではシステムのプロトタイプの実装および評価実験を行い,背景をロボットが置かれている場の画像に置き換えることで会話の活発度や遠隔者の存在感の向上に寄与することが明らかになった.

[学生講演奨励賞]気を引く画面内エージェント ~ 特定方向注視しているように見える画面内エージェント ~,渡辺巧登, 高汐一紀, 信学技報,vol. 119, no. 189, CNR2019-15, pp. 19-23, 2019年8月.

近年3DCGキャラクタが普及し,対話型エージェントのアバタとして画面内エージェントに使用されつつある,しかし画面内エージェントではモナリザ効果というユーザに対する注視が曖昧になる問題が存在する.本研究では注視対象を瞳に映す手法と背景をユーザに追従させることにより空間の共存感,及び一体感を与える手法を提案する.実験用に注視対象を手動で選択できるエージェントを作成し実験と評価を行った.

Video Gaming with Emotion-Expressive Virtual Rival Agent, Shinsuke Kiyomoto, Kazunori Takashio, 信学技報, vol. 119, no. 267, CNR2019-38, pp. 79-80, 2019年11月.

With the evolution of computer gaming hardware causing entertainment to change, on-screen PvP video games still remain to be the most popular option. Most of these games have a game mode versus CP(Computer Player). However the experience in such modes can lack satisfaction on the player side due to the lack of engagement, challenge, and involvement. This research will design and evaluate an auxiliary system that enhances the experience of playing against CP by using an on-screen virtual agent. Emotion will be synthesized through an emotion engine using the game state as an input, and the agent will display facial expressions and appropriate utterances.

Virtual IoT: An IoT Platform with MR Technologies Realizing Low-cost and Flexible Notification of Life-support Information,Kentaro Taninaka, Kazunori Takashio, IoTaIS2019,2019年11月

Virtual IoT: An IoT Platform with MR Technologies Realizing Low-cost and Flexible Notification of Life-support Information Abstract : The miniaturization and decreasing cost of networking computers, along with the advancement of cloud infrastructure has eased the implementation of IoT products for manufacturers. The increase in such products has led to the rise in IoT devices with information provision function. However, it is difficult to make products display information in consideration of the design on the surface, like daily commodities, since it requires the device to have a wealth of computational resource. In this paper, we propose Virtual IoT System, the approach which adds information-giving functions to the non-computing objects using Mixed Reality technology. This system enables appropriate things to give adequate information at the appropriate timing. In this paper, we explain the detail and design of Virtual IoT System. In addition, we conduct an experiment to evaluate the usability and expressive power of Virtual IoT system.

ロボットの会話における擬似感情の音声的表現, 桑原多瑛, 堀江拓実, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 81, CNR2019-2, pp. 7-11, 2019年6月.

ロボットと人の会話において,会話の盛り上がりを半減させる要因の一つに音声が単調である事があげられる.人同士の会話では,会話中の音声に感情の変化が現れる.これを踏まえ,ロボットの会話内容に含まれる擬似感情を発話音声により表現する手法を提案する.その場合,会話履歴から感情変化の流れを考慮することでより自然な音声になると考えられる.実装したロボットの音声により,人とロボットとの会話でコミュニケーションの円滑化が見られるかを検証する.

ロボットによる対話割込み制御のための会話管理モデルの提案, 堀江拓実, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 81, CNR2019-11, pp. 55-60, 2019年6月.

ロボットが実社会で使われる場合,第三者による現在進行中の会話への割込みを考慮する必要がある.特に,それまでと無関係な内容の会話をロボットと行うための割込みの場合,ロボットは割込み前と後の複数の会話をスケジューリングし実行しなければならない.本研究では,まず実際の人間同士の会話の分析に基づいて割込みに対応するために必要となる会話について整理する.そして,会話コンテキストを定義し,会話コンテキストスイッチングによって複数会話を同時管理するフレームワークを提案する.

v-IoT における連想概念辞書を用いたモノと情報のマッチング, 谷中健大朗, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 81, CNR2019-8, pp. 37-42, 2019年6月.

計算機の低価格化及び小型化やクラウド型情報インフラの整備により,様々な IoT 製品が登場した.近年では,ユーザに対し能動的に生活支援情報を提示する機能を持つ機器も増えている.しし,日用品等,表面的な形状を考慮した情報をモノ自身から提示することは難しく,既にスピーカやディスプレイが搭載されている機器から多種多様な情報が提供されているのが実情である.本研究では IoT 機器化困難なモノを仮想的に IoT 機器化する手法,v-IoT システムを提案,その有効性について検証を行った.

着せ替えによりキャラクタメイクするロボット, 高井陸, 宮本凜太郎, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 81, CNR2019-6, pp. 27-30, 2019年6月.

人は人形に衣服の着せ替えを行うことで,その人形にキャラクタ性を与える.コスプレもまた同様に、 外見から自身のキャラクタを作り出す行為であろう.パーソナルロボットにおいては,外見のカスタマイズの意 義やその心理的影響に関して議論されてこなかった.本研究では,ユーザがロボットの外装を付け替えることで, ロボット自身がキャラクタを意図的に変化させるロボットを実装し,着せ替えという行為によりロボットに対し 愛着が高まるか,および他人のロボットとの違いを感じるかを評価する.

援助行動を促進するロボットモーションライブラリの検討・分析, 大平麻以, 谷中健大朗, 渡辺巧登, 高汐一紀, 信学技報, vol. 119, no. 81, CNR2019-5, pp. 23-25, 2019年6月.

人との共同作業を可能とした協働型ロボットの開発が進み,ロボットの設計において人とのインタラク ションが重要視されるようになった.特にロボットの能力では対処できない仕事は,人の介入を要求する動作が不可 欠である.そこで本研究では,乳幼児に抱く不完全さに着目,該当する複数の要素をロボットのモーション動画とし て作成し印象評価を行った.実験結果から最終目標であるロボットへの支援を引き出すモーションライブラリの作成 を目指す.

2018


会話の文脈と割り込み状況を考慮した会話タスクスケジューリング手法CACTSの実装と評価 : 堀江拓実, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 443, CNR2017-30, pp. 45-50, 2018年2月.

公共空間で動作するコミュニケーションロボットでは,動的な会話タスクの生成と,会話相手に違和感や 不快感を与えない会話タスクの切り替えが必要となる.本論文では,ロボットが会話外から割り込まれた場合の会話 タスクのスケジューリング手法として,ロボットが割り込みを受けると,内容に合わせた会話タスクを生成し,会話 の重要度,長さ,会話相手同士の人間関係,会話相手の情動,および現在の会話タスクの隣接ペアの情報に基づいて 会話タスクのスケジューリングを行う CACTS を提案し.偶然ロボットを見ている周囲の人間の立場と,割り込まれ る立場から,常に最新の会話タスクを優先する場合と比較した本手法の印象を評価した.実験の結果,提案手法の有 効性が示された一方,割り込まれた状況に対して一意にスケジューリングを判断することの限界も示された.

Handling Conversation Interruption in Many-to-Many HR Interaction Considering Emotional Behaviors and Human Relationships : Takumi Horie, Kazunori Takashio, 27th IEEE International Conference on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2018), Aug, 2018.

In the future, communication robots are expected to join many-to-many human-robot interactions. Thus, robots must handle interruptions requesting a new task outside of the current conversation. In this paper, we propose a novel scheduler which decides switch timing of conversational tasks when a robot is interrupted. The model grasps the structure of the conversation and finds its breakpoints based on adjacency pairs. In order to decide whether to switch conversational tasks on each breakpoint or not, the model prioritizes conversational tasks considering an importance of its topic and a length as contexts of each conversational task. The model also uses human relationships and emotional behaviors to decide priority of conversational tasks. The result of an evaluation experiment shows that our proposed scheduler could impress subjects more favorably than that which always prioritizes an interrupter.

C2AT2 HUB: Long-term Characterization of Robots based on Human Child’s Personality Development, Shintaro Kawanago, Kazunori Takashio, 27th IEEE International Conference on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2018), Aug. 2018.

Inadequate variety of personalities for communication robots may cause unnatural interac- tion with them and reduction in attachment. This paper proposes C2 AT2 HUB, where communication robots are characterized by changing tendency of affect transition based on long-term interaction with users. In C2AT2 HUB, robots’ affect is defined as two types; “interpersonal affect” and “emotions”, and transition of each type of affect is adjusted by history of users’ actions to robots in order to characterize robots gradually. Evaluation experiment revealed our approach characterizes robots naturally and improves impression of robots.

Social Interaction with Cloud Network Robots : Kazunori Takashio, 14th International Conference on Intelligent Environments (IE’18) / Tutorial, June, 2018, Roma Italy.

http://ebooks.iospress.nl/volumearticle/49339

親近感を生み出す協働ロボット間インタラクションの身体性デザイン : 柏木梨佐(聖心女子学院), 宮本凜太郎, 高汐一紀, 信学技報, vol. 118, no. 94, CNR2018-6, pp. 29-32, 2018年6月.

次世代のロボットサービスでは,複数のロボットが連携動作を用いて人と協働,共生することが前提となる ため,如何にユーザーの親近感を得るかが重要な意味を持つ.ロボットは外装だけでなく,その挙動もまたユーザー に不安感をあたえないようにデザインされなければならない.本研究ではロボット間の連携動作に,敢えて身体性を 持ったロボット間インタラクション要素を加える手法を提案する.既存のロボットを用いた連携動作と,本システム を用いた場合を比較し,協働,共生するロボットに対するユーザーの印象変化を評価する.

対比的応答を用いて自然なサブカル雑談を行うロボット : 中嶋俊太(山手学院), 堀江拓実, 桑原多瑛, 谷中健太郎, 高汐一紀, 信学技報, vol. 118, no. 94, CNR2018-5, pp. 23-27, 2018年6月.

コミュニケーションロボットは人間との長期的な関係性を築く必要がある.そのためには,一時的に利用 される雑談応答サービスで重視される単文での面白さよりも,会話としての自然さを高めなければならない.本研究 では,相手の発話に呼応した対比的応答を行うロボットシステムの実装を行なった.サブカル雑談において対比的応 答は,盛り上がりに必要な共感の呈示や話題転換など会話の進行上の重要な役割を果たしている.単文での面白さを 重視した応答を行うロボットと本ロボットがユーザに与える印象を比較し,発話生成ポリシーが人間とロボット間の 関係構築に与える影響について議論する.

ロボットの段階的成長過程のデザイン : 齋藤光輝(慶應藤沢高), 谷中健大朗, 高汐一紀, 信学技報, vol. 118, no. 94, CNR2018-4, pp. 19-22, 2018年6月.

生活を共にするパーソナルロボットの成長は,ユーザに親しみやすさをもたらす.本研究ではロボッ トの成長を促す手段の 1 つとして「教える」という行為に注目する.1 度教わるだけで完璧に修得するような急激 な学習ではなく,ペットの躾けと同様,ユーザが「教える」という行為を繰り返すことによりロボットが徐々にス キルを修得する「段階的な学習」の方がユーザはより長期的に親近感を感じることができるという仮説のもと,ゲ ーミフィケーションの要素を組み込んだ 3 種類の学習過程をデザインする.加えて,どの学習過程が最も親しみやす く感じるのかをコミュニケーションロボット COZMO を用いて検証する.

仮想的IoT技術を用いた生活支援情報提示手法 ~ IoT機器と日用品からの情報提示による有効性の比較 ~, 谷中健大朗, 高汐一紀, 信学技報, vol. 118, no. 184, CNR2018-12, pp. 7-11, 2018年8月.

IoT機器の普及に伴い、ユーザに対し能動的に生活支援情報を提示する機能を持つ機器も増えた。しかし、日用品等、よりユーザの生活に近い物品に情報提示機能を付与することは難しく、スマートスピーカの様に豊富な計算資源をもつ機器から多種多様な情報が提供されているのが実情である。そこで本研究では、AR技術を応用することで、このようなIoT機器化困難なモノを仮想的にIoT機器化する手法を提案する.本手法は,提示する情報のメタ情報をモノが持つアフォーダンス情報や機能にマッチングすることで、適切なモノが適切な場所,適切なタイミングで、役割に合った情報をユーザに伝達することを可能にする。本稿では、AR上で日用品から情報提示する手法と、スマートスピーカ等、既存のIoT機器の情報提示手法と比較し、提案手法の有用性を明らかにする。

Effectiveness of Manga-Effects To Telepresence Communication System, Risa Takemura, Takumi Horie, Kazunori Takashio, IEICE Tech. Rep., vol. 118, no. 306, CNR2018-33, pp. 87-92, Nov. 2018.

Today’s telecommunication systems have been greatly evolving, while the video calls used on telepresence robots still seems bland. We hypothesize that the augmentation of video calls with Manga-Effects will help users attain a sense of familiarity and find entertaining components within their conversations. In specific, adding various Manga-Effects over the video call, respectively selected upon the users’ facial expression, will help visually emphasize certain emotions. This experiment analyzes the level of users’ involvement in the conversation, and verifies our hypothesis.

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Ex-Amp Robot: Expressive Robotic Avatar with Multimodal Emotion Detection to Enhance Communication of Users with Motor Disabilities : Ai Kashii, Kazunori Takashio and Hideyuki Tokuda, 26th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2017), Aug to Sept, 2017.

In current society, there are numerous robots made for various purposes, including manufacturing, cleaning, therapy, and customer service. Other robots are used for enhancing H2H communication. In this research, we proposed a robotic system which detects the user’s emotions and enacts them on a humanoid robot. By using this robotic avatar, users with motor disabilities are able to extend their methods of communication, as a physical form of expression will be added to the conversation.

隣接ペアの連鎖を考慮した対話フローのアトミシティ検出とその効果 : 堀江拓実, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 95, CNR2017-5, pp. 23-28, 2017年6月.

多対多のインタラクションを想定したコミュニケーションロボットでは,動的な対話タスクの生成と,対話相手に違和感や不快感を与えないタイミングでの対話タスクの割り込み制御を行う必要がある.本論文では,隣接ペアとその連鎖を考慮して検出したアトミシティを利用した会話スケジューリングが,本来の会話相手に対して良い印象を与えるかを検証した.実験には,Artificial Intelligence Markup Language (AIML) を拡張し,隣接ペアを表現可能にした対話タスク記述言語 AIML-ap を新たに定義し,用いた.実験の結果,隣接ペアの連鎖を考慮した会話スケジューリングが本来の会話相手に対して良い印象を与える可能性を示した.

MoDe:ヒューマノイド型ロボットのためのモーションデフォルメツール : 林亮太(市立浦和), 堀江拓実, 真島大樹, 川那子進太郎, 宮本凜太郎, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 95, CNR2017-8, pp. 41-44, 2017年6月.

ロボットは人間の動きをそのまま再現することは構造上困難であるため,人間の動きを適度にデフォルメすることが必要となる.本論文では,ヒューマノイドロボットのためのモーションデフォルメツールMoDeを提案,そのプロトタイプを紹介するとともに,適用実験を通して,モーションデザインにおける有用性と今後の展望を議論する.本プロトタイプでは,モーションキャプチャによって取得された人間の動作データをデフォルメするパラメータとして,モーションの大きさ(Scale)と分解能(Step)を実装,両パラメータを適正値に設定することで,ヒューマノイド型ロボット向けのキャラクタ付けされたモーションデータをリアルタイム生成することが可能となった.

DigiFAB環境と連携したデザイン指向STEM教育ロボットキット : 真島大樹, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 198, CNR2017-14, pp. 31-36, 2017年9月.

世界中でSTEM教育が盛んになる中,日本においてもTechnologyやEngineeringの両面からの教育の充実が求められており,センシング,情報処理,アクチュエーションの基礎を学ぶツールとして,ロボットをターゲットとした教育ツールが注目されてきた.一方で,従来の教育用ロボットキットはロボットの製作を目的としたエンジニアリング層からのボトムアップ思考のアプローチが主であり,インタラクションやアニマシーといった,トップダウン型のロボットデザイン分野への適用は難しかった.本稿では,デジタルファブリケーション環境と連携することによりデザイン指向のロボット教育を可能とする,オープンソースSTEM教育向けのロボットキットの開発事例を報告する.

C2AT2 HUB: 人の心理モデルに基づいたロボットの長期的な性格形成手法 : 川那子進太郎, 高汐一紀, 信学技報, vol. 117, no. 443, CNR2017-45, pp. 127-132, 2018年2月.

現状のコミュニケーションロボットの多くはロボット個体別の個性をもっておらず,個性の欠落がロボットへの愛着の低下やロボットとのコミュニケーションにおける違和感の原因となっている.そこで本研究では,長期的なインタラクションによってロボットの性格を形成する手法であるC${}^{2}$AT${}^{2}$ HUBを提案する.本手法では,ロボットの情動を「対人情動」と「情動」の2種類によって定義し,それぞれの情動の遷移傾向を,ロボットに対するユーザ行動の履歴によって調整することで緩やかに性格形成を行う.評価実験結果から,本手法によってロボットがより自然に性格付けされ,ロボットの印象や愛着が向上することが明らかになった.

Ex-Amp Robot: Physical Avatar for Enhancing Human to Human Communication : Ai Kashii, Kazunori Takashio, Hideyuki Tokuda, International Conference on Human-Agent Interaction 2016 (HAI 2016), Dec, 2016.

Our research focuses on creating a robotic system that aids human-to-human communication. The robot acts as a personal companion that understands the user’s emotions and helps express them alongside the user. First, the user’s facial expression is detected through a connected camera device and relays the retrieved information to a humanoid robot. The humanoid robot then performs physical gestures that match the detected emotion. By using this system, those who are unable to freely move their own bodies can add a physical component to their communication method. In this paper, we have determined the efficacy of translating detected facial expressions into robot movements. Through experiments and surveys, we determined whether our proposed ‘Ex-Amp Robot’ helped enhance the communication of a hypothetically tetraplegic user.

Robot Avatar for Enhancing the Communication of Physically Disabled Humans : Ai Kashii, Kazunori Takashio and Hideyuki Tokuda 25th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN 2016), Aug, 2016

The robot avatar proposed in this paper is a personal companion that captures users’ facial expressions and translates retrieved emotion data into gestures best suited to express the user’s emotion in real-time. This robot allows users to enjoy physical aspects of communication, as well as put an impact on parts of conversations to raise conversation quality. In this research, we have conducted experiments to validate the efficacy of translating facial expressions into robot movements.

Expression Amplifying Robot ~ 会話の中での表現力を増強するロボット ~ : 樫井亜依, 高汐一紀, 徳田英幸, 信学技報, vol. 116, no. 106, CNR2016-3, pp. 11-16, 2016年6月.

現在,様々なタイプのロボットが,あるものはコミュニケーションパートナとして,またあるものは労働力として,我々の日常生活を支えてくれている.コミュニケーションを支援するロボットの種類は多く,アバタ(アイデンティティの象徴)として機能するものもあれば,それ自身が会話相手として振る舞うロボットもある.本稿で我々は,H2Hのコミュニケーションを補助するロボットシステムEx-Ampを提案する.本ロボットシステムは,感情の表現力を増幅するロボットであり,ユーザの感情を理解するパーソナルロボットとして動作し,ユーザの側で,ユーザの代わりとなって感情を身体表現する.感情を身体表現することが困難なユーザも,本パーソナルロボットを使うことで,自身の感情表現の自由度を上げることが可能となる.今回,我々はスマートフォン上での表情検出機構と組み合わせ,検出された表情をロボットの動作トリガとして利用する機構を実装した.さらに,H2Hコミュニケーションにおける表現力向上の効力を,四肢麻痺状況のユーザを想定した評価実験を通して検証した.